臭い、匂い、香り、かまり

(12月12日)

 臭い、匂い、香りの感じ方、好みも嫌いも人それぞれで、その感想にいちいち同感したり、茶々を入れたりするのもどうかとは思うが、このごろ「何かヘン」と感ずる。
 やたらと「臭みを消す」にこだわる料理を教える番組、それを食べて「臭みがな~い」と喜んで叫ぶ、もはやグルメとは言い難いリポーターが出る番組が目に付くからだ。そのことを嘆くと、何人かの仲間が同意した。「乳臭さのない牛肉って牛肉なの?」「ラムやマトンの臭みを消して羊を食べるとはどういうことか」と。
 熟成の度が過ぎて腐臭がするのはいかがとは思うし、臭みが強い獣肉は一定の臭いを抑えることは必要だが、牛肉は牛肉の、羊は羊の、それぞれの味を楽しみたいのに。
 中国の内陸地を視察して夜の屋台村に繰り出し、名物の羊肉の串焼きを注文したが、辛くて刺激の強い香辛料が勝って肉の味がよくしなかった。また、都会のこ洒落(じゃれ)たレストランで出てきた牛肉料理はハーブに漬けたのか、その味が強く、肉本来の旨味(うまみ)をあまり感じなかった。ガーリックの味が強烈な豚肉のソテー、炭火の焼き具合の強い焼き鳥もあり、「肉を味わう」から遠かった。
 テレビのローカル情報番組で先日、タラが取り上げられ、その臭みをとる方法としてパットの上に置いた切り身に砂糖を振りかけ、ある程度の時間を置くと紹介していた。それを見ていた一同が「えーっ」と驚きの声を上げた。
 魚に塩を振ることはよくあるが、砂糖は聞いたことも見たこともなかったからだ。砂糖の浸透圧を使ってタラの水を引き出すと臭いが抜けるという。理にかなったことなのだろうが、旬のものをそこまでするべきなのか疑問が浮かんだ。
 肉と同様に魚も臭いが嫌われているようだ。サバもイワシもサンマもホッケも、独特の臭いがあってこそ、その魚種らしさがあるのであって、焼き立ては「臭い」ではなく香ばしい「匂い」である。
 好漁が続くハタハタ。八森の番屋に激励に行くと、いかにもの臭いが広がっていた。漁師は「ハタハタかまり、するべ」と言ったが、「かまり」は豊饒(ほうじょう)の匂いであった。  (八)


 

幸福度ランキングの最下位

(12月6日)

 経済雑誌やビジネス書を出版しているダイヤモンド社から5日朝にスマートフォンに届いたニュースに興味を引かれ読んでいくうちに、だんだん落胆してしまった。そして「それは本当なのか」とも思った。
 都道府県「幸福度」ランキング2019!3位福井、2位熊本、1位は?──の見出し。その1位は宮崎県で、幸福度は「西高東低」の傾向にありとのことで、順位に目をさらすと、40位宮城、43位青森と福島、46位岩手と下位に東北地方が並び、何と秋田は47位、全国最下位だった。
 ランキングは、ブランド総合研究所が今年初めて実施した「地域版SDGs調査」によるもの。SDGsとは「持続可能な開発目標」のことで、調査は住民の視点で地域の課題を明らかにするために行ったそうだ。
 アンケートはインターネットで7月に実施。各都道府県から約340人の回答を得た。「あなたは幸せですか」という問いに、「とても幸せ=100点」「少し幸せ=75点」「どちらでもない=50点」「あまり幸せではない=25点」「全く幸せではない=0点」の5段階から一つ選んでもらい、全回答の平均を「幸福度」としたという。
 トップの宮崎は72・4点、対して最下位の秋田は60・5点で、11・9㌽も差がある。南国の暮らしに幸せを感じ、東北は北国の辛(つら)さが重いのか。ちなみに東京は63・3点で45位、神奈川は64・5点で41位で、大都会の生き辛さがあるのかもしれない。
 秋田では「まったく幸せではない」の回答が20代が1・5%、60代が4・3%と少なかったが、40代は14・4%で全国で最も多く、30代も12・8%で、「働き盛りの世代で幸福度が低い傾向にある」との分析である。
 秋田は満足度と定住意欲度も47位と最下位、愛着度も45位、逆に住民1人当たりの悩みの個数を聞いた「悩める住民が多い都道府県ランキング」では4・26個で1位だそう。
 ランキングにいちいち過剰反応するのもどうかとは思うが、県民に不満が重層的にたまっていたり、郷土に愛着が薄れてきたとすれば由々しき事態である。座してばかりではいられない。  (八)


 

店舗内店舗という銀行支店統廃合

(12月1日)

 「能代どうなるんだ」と最近よく聞かれる。どうなるもこうなるも、少子高齢化による急速な人口減、地域経済の縮小、それを背景にして多くの業種業態が対応に迫られているから、厳しい状況は続くと思うが、そう言ってしまえば気分が落ち込むので声にはしない。「うーん」とうなるだけである。
 北都銀行が店舗網の効率化の一環で二ツ井支店と能代駅前店を能代支店に移転し、ブランチ・イン・ブランチとして運営すると発表したとの記事が本紙30日付に載った。その情報を知って、「どうなる」と思った。
 ブランチ・イン・ブランチとは聞き慣れない用語だが、店舗内店舗とも呼ばれ、複数の店舗を1カ所に集約、複数店舗として営業を続ける手法だそう。従来の統廃合では、顧客が店番や口座番号などを変更することがあったが、店舗内店舗になれば、店番も口座番号も変わらず、通帳もカードもそのまま使えるという。
 しかし、二ツ井支店は来年3月19日、能代駅前支店は5月22日をもって店舗営業が終わり、「空き店舗」になるとのこと。事実上の廃合ともいえる。ネット社会に順応できる若い人はまだしも、高齢者は困るのではないのかと案ずる。
 二ツ井、能代駅前の両支店は秋田相互銀行、秋田あけぼの銀行をルーツに、羽後銀行との平成5年の合併で北都銀行の支店となった。能代駅前店はその名のとおり、駅前の顔的な金融機関で、地域経済を支えてきた。
 二ツ井店もまた駅通り商店街の一角を占め、二ツ井藤里商圏を支援してきた。昭和46年に移転新築されたが、日本を代表する建築家の一人の故宮脇檀(まゆみ)氏の設計で、存在感のある建物である。 
 今回の店舗内店舗化という統廃合は、地方経済の停滞に加え、長引く超低金利の影響で、全国の地方銀行の経営環境が厳しいことがあると思われる。
 能代では6年前に秋田銀行能代支店が能代駅前店を統合して、新築した店舗に移転している。
 金融機関も変わらざる得ない時代にあることを今回の北都銀行の店舗集約で肌で感じたが、能代の経済の盛衰を映し出しているようで、寂しく思う。

(八)