イオン新能代SCの工事本格化

(7月14日)

 東能代地区に住む男性と懇談すると「ようやく動き出した。待ち望んできたし、わが地域の活性化にもなるはず」と声を弾ませていた。
 一方で、柳町近くに住む女性は「こっちはどうなるのかしらね。もしなくなってしまうと、困るし、街はますます寂れてしまう」と心配そうに語っていた。
 8日付本紙1面のトップ記事は「秋田自動車道能代東インターチェンジ近くで、イオンモール(本社・千葉市)の大型商業施設『イオン新能代ショッピングセンター(SC)』の建設工事が本格化してきた」と伝え、大型クレーンやバックホーなどの重機が杭(くい)打ち工事をしている写真を掲載した。
 冒頭の男性の言葉は、その記事を読んでの待望久しい地元住民としての感想。女性の声は、本紙の記事から東能代の新能代SCが来年12月に開業予定と知ったけれども、その先に柳町にあるショッピングビルの「イオン能代店」の閉店があるのではないかとの不安である。
 イオン新能代SCの構想が浮上したのは2003年。2年後に出店予定地の開発手続きを開始、さらに2年後に計画概要が発表されたが、大きな反対運動が起き、さらに着工時期や店舗規模などをめぐって二転三転、3年前に造成工事に入ったものの、軟弱地盤のため対策工事に迫られ、開業がさらに遅れるという経緯をたどってきた。
 長い時間を経て槌音(つちおと)が高くなった現実に、土地を貸す地権者や地域住民や消費者、商業者、行政にさまざまな思いが交錯しているだろう。商圏とする能代山本の地域の現状と商業の明日にも思いが及ぶはずだ。
 当初計画の店舗面積3万5000平方㍍、専門店100で2階建てモール型は、大幅に見直し縮小され、1階建て1棟にホームセンターが一体型に付くという。
 少子高齢化に急速な人口減と地域経済の縮小、コロナ禍による小売業の先行き、イオンモール自体の経営などが絡む中で、どのような戦略を立て、店舗づくりをするのだろうか。(八)


 

プレミアム飲食券を手にして

(7月9日)

 届かないのでやきもきしていた秋田県のプレミアム飲食券の購入引換券がようやく郵送されてきたので、近くの銀行で交換してきた。
 知人は届くのが遅いのではと事務局に電話で確認を兼ねて問い合わせたところ、申し込みの専用用紙の住所に番号の記入にちょっとしたミスがあったそうで、訂正をお願いしたところ、数日後に引換券が届いたという。いずれにしろ、申し込みが殺到、事務作業が混雑しているようだ。
 プレミアム飲食券は、新型コロナウイルス感染症によって外食機会が減っていることで、県内の飲食業が大きな影響を受けていることの対策として発行している。県内で飲食し、地元の消費を拡大しようという応援だ。1シート2800円(700円×4枚)で最大4000円分の飲食費に利用できる。1人3シート8400円で、12000円分の飲食、都合3600円の特典となる。
 それで、「どこで何を食べるか」が仲間内で話題となり、「土用丑(うし)の日」も近づいてきたからか、プレミアムで若干気がおおきくなったのか「うなぎ!」との声が出て、能代市内のあの店この店を語り、秋田市の名店をあげる人もいた。
 能代からの客もいるという県北の割烹(かっぽう)も出たが、情報通が「廃業した」と報告、コロナ禍を潮時にしたのかと思った。ふと、中華料理の豪華版もいいかもと考えたが、浮かんだ店は先月末で閉店したことを思い出した。飲食券を使うにしても、店舗情報を確認しないといけない今なのだ。
 いち早くプレミアム飲食券を手に入れた友人は、夫婦2人分24000円分を使い果たした。家族や親類が集まった小さな会食の弁当代、近場の旅での「道の駅」のレストランの昼食代。あっと言う間に消えたと残念そうだったが、県内飲食業を「食べて応援」を率先したのだから褒められるべきだ。
 さて、こちらはどうするか。なじみの店の奥さんが「使えますよ」とニッコリと誘ってきた。(八)


 

帰省で、ひんじぇど、やぐやぐ

(7月4日)

 東京から帰省した後輩と2時間ほど懇談した。しかし、彼はマスクをずっと着けていた。その日に乗用車で到着したが、翌朝に上京してしまった。
 新型コロナウイルスの感染拡大防止で求められた外出自粛が先月19日、全国を対象に解かれ、県をまたぐ移動ができるようになって、遅まきに父親の法事を行うため独り暮らしの母親のいる実家に戻ってきた。6月いっぱい滞在、少しゆっくりしようとしたのだが、早々に帰ったのは、気まずさを感じたからのよう。
 車両は品川ナンバー。駐車すれば、「東京から来ている」と知られる。街に出て飲食するにしても「東京の人」は警戒される。そんな気配を察知したのだろう。
 「ひんじぇど、さいねがったナー」と思った。「ひんじぇど」は「せいせいと・のびのびと」を言い表す秋田弁で、「さいね」は「できない」の意。
 工藤泰二著「読む方言辞典・能代山本編」では、①精々と。できるだけ。力の及ぶかぎり。腹一杯。思う存分②清々(晴々)と。さっぱりして気持ちのよいさま。心にわだかまりがなくすがすがしいさま─と解説。後輩にはふるさとでのんびりと②の気分になってほしかったのだが。
 知人女性が、7月末に東京在住の娘夫婦と孫が遊びに来ると喜んでいた。昨秋、女の子の孫が誕生したが、コロナで行き来ができなくなってしまった。孫を含めた里帰り、花火もお祭りも夜店も七夕もないけれど、避暑を兼ねてとにかく実家に戻りたいそうだ。
 その話を聞いて、「みんな、やぐやぐ、したいんだなぁ」と思った。「やぐやぐ」は「伸び伸びと・何の気兼ねもなく」の方言。「楽々」を「薬々」と書き誤り、それを「やくやく」と呼んだのが語源の説がある。
 密な状態の首都圏に住む人々は、密とは反対のまばらな疎のふるさとに帰省して「やぐやぐ」したいのだ。しかし、東京をはじめ感染者がまた増え出している心配と悩み尽きない。(八)