文ちゃんと花岡事件

(2014.11.4)

 小学館の雑誌「本の窓」11月号に掲載されている連載対談「外野の直言、在野の直感」で、俳優の菅原文太さん(81)が能代市鳥小屋のルポライター野添憲治さん(79)と「花岡事件を知ってますか?」をテーマに語り合っている。
 映画「トラック野郎」「仁義なき戦い」の文ちゃんが、なぜに花岡事件で野添さんと対談?。異色の組み合わせだなと思い、経緯を野添さんにうかがった。
 この連載対談は41回を数え、テーマや人選は菅原さんの意向で決まっているそうで、野添さんには7月末に打診があった。菅原さんは花岡事件の本を何冊か読んでいて、野添さんを希望したという。対談は9月上旬、都内の同社応接室で行われた。「『やあ、やあ』と応接室に入ってきたのは、目が優しい男でね、想像とは違っていた」と野添さん。同席した編集者が口を挟むことはなく、2人のガチトークだった。
 花岡の河川改修現場に強制連行された中国人が1日2個のマンジュウのみで働かされ、それすら食べさせてもらえない日もあったと言うと、菅原さんは「うーん」とうなり、中国人への暴力に話が及ぶとさーっと顔色が変わった。
 工事を請け負った鹿島組(現・鹿島)を相手取った裁判で、中国人リーダーの耿諄さんらが求めた謝罪を鹿島が拒否したことには、慚愧に堪えないという表情を見せた。強制連行で人生を翻弄された人たちの痛みを受け止めようとしているかのようだったという。
 「華やかな世界にいる大スターの別の一面を垣間見たような気がした。たぶんそれは彼も戦時中に少年時代を送り、苦労を知っているからだと思う」。住む世界こそまったく違う2人だが、共鳴し合う根っこの部分は同じなんだと野添さんは感じた。
 対談の終盤には次のようなやり取りがある。まるで、映画のワンシーンのようだ。
 菅原「国が違っても隣人としておたがいに尊敬し合いながら付き合っていくのが人間の理想だと思うけれど、それは夢なんでしょうかねぇ」
 野添「夢かもしれないけれども、しかし国と国の争いはあっても、国民同士は友だちになれるんだよなぁ」 

     (伊藤 仁)


SLに乗って

(2014.10.22)

 ホームに差し込む陽光を浴び、黒々とした車体が輝きながら目の前にある。想像していた以上の迫力に、カメラのシャッターを切るのも忘れ、しばらくその姿に見入っていた。
 2年ぶりにC61型の蒸気機関車「SLあきた路号」が秋田〜東能代駅間を運行し、鉄道ファンや地元住民が〝SLフィーバー〟に沸いた先週末。先立って行われた16日の試乗会に参加し、話題のSLに初めて乗ることができた。
 出発前の午前8時30分すぎ。秋田駅のホームにSLが姿を見せると、集まった乗客から一斉に歓声が起こり、興奮が広がった。金色で縁取られた「C6120」のプレート。外観はほぼ当時のままという。SLは見るのも初めてだったが、大人心をくすぐるような〝かっこよさ〟と、前にも乗ったことがあるような〝懐かしさ〟を感じた。
 人垣の間を抜けて乗り込み、客車の椅子に腰を下ろすと、出発の合図。地元の住民や園児らが手旗を振って見守る中、SLは「ポーッ」という甲高い汽笛を上げ、レールがきしむような小さな音を響かせながら、ゆっくりと動き出した。
 椅子は背もたれが真っすぐで、肘掛けも木製で少し硬い。細かく見てみると、塗装の下には小さな傷や剥がれが至る所にあった。長きにわたって人々の生活の足となり、歴史を刻んできたのだとこの時、感じ取ることができた。
 窓枠の両端に付いた小さなつまみを持ち上げると、もくもくとした黒い煙が風で流れ、車内に炭の匂いが入り込む。電車では味わったことない不思議な感覚にまた旅情をそそられ、いつもの景色がより美しく見えた気がした。
 各駅や線路沿いでは子どもからお年寄りまで多くの人が集まり、SLが通るたびに笑顔で手を振った。それを見て乗客もまた手を振り、自然と笑顔が広がっていく。SLには人々を引き付ける魅力がたくさん詰まっていた。
 今回はアフター・デスティネーションキャンペーンのイベントとして2日間限りの運行だったが、かつて利用していた世代だけでなく、初めて見た人たちにも興奮を与えたSL。今後もさまざまな機会でその姿を見たいし、また笑顔を届けてほしい。

(松嶋 研祐)


ヒーローは「熱き心」

(2014.9.23)

 能代市の能代エナジアムパークで14日、同市の銀河連邦ヒーロー「ノシロリオン」と秋田のご当地ヒーロー「超神ネイガー」のコラボショーが行われた。のしろ銀河フェスティバルの催しで初企画。戦隊ものならではの力強いパフォーマンスと完成度の高いシナリオで、夢に充ち満ちた宇宙開発の魅力をうまく伝えていた。ヒーローの真っすぐな言葉は子どもだけでなく、大人の心にも響いたはずだ。
 ネイガーの敵役グループ「だじゃく組合」のメンバーは「宇宙開発?そんなのお金ばかりかかって、ちっとも役に立たないわ」と手厳しく〝口撃〟した。さいころの箱を片手に持って戦うノシロリオンは「宇宙研究で得体の知れないダークマター(暗黒物質)が大量にあることや惑星に生命が宿る仕組みが分かったりする。無駄なことはちっともない」と譲らず、パンチ、キックと連続攻撃。「希望、情熱、勇気、協力、平和、子ども達の未来。これがこの箱に入っているパワーだ」と敵をたじろがせた。
 ノシロリオンやネイガーはこの箱を軽々と手にするが、敵役が持ち上げようとしてもびくともしない。ネガティブな気持ちを持った人には重過ぎるのだ。
 物語は佳境に突入する。ネイガーにピンチを救ってもらったノシロリオンは宇宙開発について「やったことのないことに飛び込む勇気と、失敗しても努力し続ける前向きな心があればいいんだぜ」と熱く語る。実は農家であるネイガー(背中に米、手の甲に田の文字が入っている)が「おらが去年よりうまいコメを作ってやろうって頑張ることと一緒か」と言うと、ノシロリオンは「そんなところだ。みんなも今やりたいことをもっと頑張ってみな」と決めぜりふ。
 JA全農あきたは12日に26年産米の概算金を決めた。あきたこまちは1等米60㌔当たり8500円。過去最低の単価に能代山本の農家らからは「営農を続けられない」「生産意欲がそがれる」と悲痛な声が上がった。あきた白神、秋田やまもと両JAは概算金の上乗せする方針だが厳しい状況は変わらない。希望がかすむ農業の危機を救ってくれるヒーローは現れないだろうか。

(若狭 基)

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前向きな心の大切さを訴えたノシロリオン(左)と超神ネイガー


ゴールド免許

(2014.8.27)

 この日曜日、秋田市の運転免許センターへ免許更新に行ってきた。2期連続で優良運転者免許証、いわゆる「ゴールド免許」を手に入れることができた。プチ自慢です、すいません。
 十年一昔と言うが、半分の5年も経(た)てば前回の更新など遠い過去。「手続きの流れって、どうだったっけ」と少し不安を抱えながら玄関をくぐると、待ち構える職員から有無も言わせず「自動更新受付機」へと誘導された。記憶の糸をたぐっても、5年前はなかったと思われる行為(受付機は21年1月に設置とのことだが、使った記憶がない…)だ。
 休日とあってセンター内は大混雑で、午前9時前の時点で80人近い列。それでも受付機は全部で4台あり、割合すいすいと10分ほどで自分の番。いざ免許を差し込むと、なぜか「受け付けできません」の文字。係に聞くと「免許が曲がってるかも」と言われ、クニャクニャ折り曲げゆがみを戻した後に再度トライするもやっぱり駄目。結局従来の受付窓口に向かい、5年前と同じ地点から手続きは始まった。日頃の管理の悪さを恥じる次第。
 視力検査、手数料等の支払い、申請書提出、写真撮影の後、10時から30分間の優良運転者講習を受講。講師を務めるベテランの男性警察官が放った最初の一言は「皆さん、おめでとうございます」だった。過去5年の無事故無違反達成、2時間の「違反者講習」や1時間の「一般講習」と比較した講習時間の短さ、車の保険料割引などもろもろを指してのこと、と素直に受け取りたいところだが、それが「逆説」であることはすぐに分かった。
 警察官によると、県内のゴールド免許取得者は全ドライバーの48%。それらが無事故無違反を継続するだけで、日常の半分近い事故リスクが抑えられる。最近多い事故形態、違反の説明に対し、いちいち付け加えられる「皆さんはそういうことはないでしょうが」。講習は実質30分にも満たなかったが、「自分はたまたまゴールドなのだ」と反省し、安全運転への意識を新たにするには十分な時間であった。
 秋田市から戻る1時間余、免許取りたての頃の気持ちに襲われて、肩が凝った。

(平川 貢)


敗戦後に吹いた涼風

(2014.7.28)

 能代松陽ナインは土砂降りの中で立っていた。自分たちの勝利を信じ応援してくれた人々に感謝の気持ちを伝えようと、高校野球秋田大会決勝後、1時間余にわたり、球場を出る車に頭を下げた。甲子園を逃した悔しさを押し殺し、傘も差さずにずっと──。
 試合を終え、多くの報道陣に囲まれたナイン。取材を進めていると、工藤明監督が「すみません。少し選手を貸してください。必ず戻って来ます」と断りを入れ、選手とともに取材場所を離れた。
 30分ほど経っただろうか。記者たちが探し回ったが、球場の中には見当たらなかった。彼らはこまちスタジアムの駐車場の入り口にいた。最後まで能代松陽の勝利を信じて応援してくれた人たち1人ひとりにお礼をするため、雨の中で整列し、球場を去る車1台1台に頭を下げていたのだ。
 工藤監督が掲げる「人としての成長」を象徴する場面。高校野球ファンらが撮影した写真がフェイスブックやツイッターなどで大きな反響を呼んでおり、拡散されるたびに「君たちの姿は秋田の宝」「心技体のうち、心は甲子園でも優勝するレベル」などと絶賛するコメントが寄せられている。
 「試合に負けたからといってやることをやらないでいたら、自分たちが今までやってきたことが嘘になる」。試合後、工藤監督はそう話していた。
 選手にとっては勝つことが何よりも大事なことで、そのために毎日厳しい練習に耐えてきたと思う。互いにどんなに良いプレーをしても勝負はついてしまうが、今大会、能代松陽に限らず能代勢は全力プレーの後、勝っても負けても真摯な態度で取材に応じてくれたことに頭が下がる。彼らには、野球を通して培った勝敗以上のものが確かにあると感じた。
 試合に敗れた次の日から能代松陽高の練習場には部員たちの姿があった。夏の借りを返すチャンスは、すぐにやってくる。3年生の思いを引き継いだ各チームのこれからの活躍が楽しみだ。

(浅野 結子)


過疎社会の現実は

(2014.7.15)

 日米学生会議日本代表団の大学生が過日、国内自主研修で藤里町を訪れ、大沢地域住民と交流した。メンバーは国公立大、有名私立大で勉学に励む男女20人。日本の将来を担うリーダー、人材になり得る学生もいたのではと思った。
 地域の抱える課題と向き合い、住民と意見交換した。メーンテーマは「過疎地域に生きる」。地元団体は、少子高齢化、人口流出、地域コミュニティー維持の危機など、日本が抱える課題がここにあり、「日本の縮図だ」として、このテーマを設定した。
 学生たちは意見交換の前に福祉施設や商店街を見て回り、藤里町の現状、現実に触れ、農業や定住人口増加、少子高齢化社会の安全安心なまちづくりなど五つの分科会で住民を交えて議論し、それぞれの代表が総括した。
 「自然と水だけでは魅力が少ない」「コミュニティーの強さ、引きこもり対策は強み」など、短時間だったが、学生、町外の人の視点で過疎地域活性化に向けた解決策にも言及した。住民からは「わずかな時間で、しっかりとまとめ助言してくれた」との声も聞かれた。
 視察先では、TPP(環太平洋連携協定)問題や仕事のやりがいなど、担当者が答えに窮する質問を浴びる場面があった。学生の顔、目は真剣そのもので、「研修の前に、それなりに勉強し、問題意識を持って来てくれたんだと感じた」との感想を口にする人もいた。
 過疎、高齢化など閉塞(へいそく)感が顕著な一地方の小さな町が抱える課題の数々。足を踏み入れた学生たちの目にどう映っただろうか。8月2日から米国4都市で開かれる日米学生会議では、フォーラムや環境、教育などの分科会も予定されている。「藤里で感じた日本」を、ぜひ会議で世界に発信してほしい。

(山崎 真一)


効果的な観光戦略

(2014.6.24)

 今月4日に県山本地域振興局管内で行われた県議会総務企画委員会の県内調査。同局庁舎での概況説明会で配布された能代山本の観光ガイドマップを見たある委員が、首をかしげながら言った。「情報があり過ぎて、ガイドの役割を果たしていない」。
 やり玉に挙げられたのは、同振興局と能代山本の4市町でつくるあきた白神広域観光推進会議が昨年6月に発行した観光文化総合マップ「白神日和」。昨年の秋田デスティネーションキャンペーン、今年の国民文化祭開催に備え、能代山本のあらゆる観光資源を来訪客にアピールしようと、約300万円の予算を使って2万部作られたものだ。
 中を開くと某旅行雑誌のような趣きで、美しい写真とともにアクセス方法を含めた観光情報が約40㌻にわたってぎっしり。しっかり読めば、能代山本および白神山地の自然、文化、歴史にまで、相当詳しくなれそうな一冊。振興局の担当部局は「市町には小っちゃいものでもいいから出して、と言って作った」と説明した。
 しかし委員は「確かに立派だけれど、情報がただ羅列している。県外から来た人がこれを見ても、どこをどう回ったらいいのか全く分からないと思う。お金もかけたのに」とバッサリ。「(公平にと)市町に気を使い過ぎている。観光に対する考えを、きちっとした方がいい」との指摘に、職員らは神妙な表情だった。
 先日、東京・浅草を訪れる機会があった。平日でしかも梅雨空の下というのに、浅草寺や仲見世は観光客でいっぱい。雷門とその人波を見た瞬間、自分の中の「世界の浅草だ」スイッチも入り、見るもの聞くもの食べるもの、皆ありがたく感じられ、隅田川を挟んだアサヒビール本社のオブジェ(分かる人は分かると思いますが…)すら素敵な観光資源に見えた次第。
 一つの良い印象に影響され、その他全ての物も同じように「良い」と評価してしまう心理状況を「ハロー効果」と呼ぶそうだ。浅草や京都などはまさにその“後光”に包まれたような場所。この辺では焼きそばで一躍名を上げ、まちのイメージも上がった横手がいい例かもしれない。
 あらゆる物に目配りした総花的な観光戦略もいいが、地域が連携し徹底的に一つの物を磨き上げ、その他の資源にもハロー効果を生じさせる。当地にもそういう思考があっていいと思うが、どうだろうか。

(平川 貢)


ミステリアスな碁

(2014.6.1)

 能代市柳町の旧料亭金勇で5月25、26日に行われた本因坊戦。プロ棋士による大盤解説会が開かれたプラザ都は両日とも大勢の囲碁ファンでにぎわった。2日間の取材でミステリアスな碁の世界に触れることができた。
 6冠の井山裕太本因坊(25)に7大タイトル戦史上最年少の伊田篤史8段(20)が挑んだ七番勝負第2局。2階大広間の対局室は極度に張りつめた空気が漂った。飲み物やお菓子を運ぶ接待役の手も震えていた。
 本因坊戦誘致の立役者となった同市出身の脚本家加藤正人さんは「本因坊戦の対局室は普通の人はいたたまれない特別な場所。長嶋茂雄でさえ数秒もいられなかった。私も数分で苦しくなる」と奇妙な逸話を語った。
 ルールを知らない私が囲碁に抱くイメージは漫画「ヒカルの碁」(読んだことはないが)ではなく、カルト的人気のスリラー映画「π」による部分が大きい。森羅万象を数式化できると信じるパラノイアチックな天才数学者マックスと老教授のやり取りが面白い。
 老教授「昔の日本人は碁盤の中に宇宙を見た。碁盤は石が置かれていない時は整然としているが、展開は無限にある。碁盤が象徴するのは複雑で混沌とした宇宙そのもの。単純な法則などない」 
 マックス「碁はゲームが進むにつれて可能性が減って秩序が現れる。次の手も予想できる。法則、秩序はある」
 混沌に秩序を見い出すマックスの考えを否定した老教授は次第に狂気の様相を帯び、碁石が白黒整然と渦巻き状に並ぶ碁盤の横で事切れていた。
 話が脱線したが、ミスターや加藤さんらその道を極めた人ほど碁の危険な魅力に打ちのめされるのかもしれない。会場にいた囲碁大会上位者も「本因坊の姿を見なくても近くに来るのが分かった」「オーラが見えた」と“霊感”を発揮していた。
 2日目の26日、対局室で井山本因坊が打つ一手を間近で撮影した。残念ながら霊的にやられることはなかった。大盤解説でも鋭い手筋にうなずく参加者を横目に置いてきぼり。せめて、加藤さんが脚本した囲碁棋士の映画「天地明察」を見て感動しようかな。

(若狭 基)


渓流にも春が

(2014.5.2)

 県内河川の渓流釣りが解禁(3月21日)されて1カ月余が過ぎた。毎年解禁当日に釣行するのだが、今年は4月に入ってからの初釣行だった。午後から八峰町の小河川に入渓。釣果は期待したほどでなかったものの、半年ぶりにイワナの魚信を感じることができた。
 大型連休初日の4月26日、師匠と一緒に大物狙いで夜が明け切らない時間帯に入渓した。師匠は今期初釣行だったが、堰堤の落ち込みに餌を付けて仕掛けを投入するや、竿が弓のようにしなった。
 揚がってきたのは30㌢級の尺近いイワナ。魚体は真っ黒でこの時期特有のさびがあった。餌につられて潜んでいた岩陰から出て来たようだ。師匠の読みはさすが。6時すぎまでの1時間余に2人で25㌢〜30㌢サイズを7、8匹ゲットした。
 まだ帰るには早いと、次の釣り場に向かったが、連休を利用して県外から釣りに来た先行者の車があり、隠れ沢に入った。せせらぎの音を聞きながら釣り上がった。型こそダウンしたものの、溜まりでイワナが餌を追う姿を見ながら2人で十数匹釣り上げた。
 沢は土砂崩れや大水などで倒れた木々で塞がれ、改めて自然の脅威を感じさせられた。山間部の渓流はまだ雪も残っていてひんやりとしていた。
 それでも沢沿いの平坦地や斜面に目を向けると、イチリンソウやカタクリ、山ワサビが白や紫の花を咲かせ、エンレイソウも大きな3枚の葉の中央に紫のつぼみを付けていた。冬、深い雪に覆われていた山間部の渓流にも着実に春が訪れていた。
 ミズやタケノコなどの山菜を求めて山に入る人が増え、春のにぎわいが戻るのも間近。山は恵みをもたらしてくれる半面、時としてわれわれに牙をむく。そのことを忘れず自然を楽しもう。   

 (山崎 真一)


「特需」一過性にせず

(2014.4.13)

 東北電力は、事実上凍結していた能代火力発電所3号機の建設に着手することを決めた。停滞感が漂う能代市に舞い込んだ特大級の朗報。総事業費は1千億円規模とされ、地域に与える経済的インパクトは計り知れない。先月まで担当した大館市を例に、経済波及効果や地域にもたらす可能性を検証した。
 大館市の誘致企業などが行う設備投資の実積は、県内市町村で「一人勝ち状態」とされる。24年度は製造業など12社が新増設し、投資額(事業費)は過去最大の150億円を記録した。25年度も10社が56億円投資し堅調を維持。設備投資が新たな雇用を生み、経済が活性化する好循環をつくり出している。
 大館のケースを火力3号機に置き換えてみる。28年度着工、32年度運転開始と計画されているので、建設する4年間は毎年250億円の投資額となる。地元にそのまま全額が投資されるわけではないが、建設に伴う地元企業の受注増、雇用の拡大、消費の増大による経済効果が発生し、状況は様変わりする。
 まずヒトが大量に投じられる。ただ交流人口が増えても、同規模の他市に比べ宿泊施設の少ない現在の客室数では、収容能力の不足が予想される。客室がなければ秋田市や大館市などに人が流れ、宿泊客がいなければ柳町など夜の飲食店街のにぎわいは見込めない。
 完成後は石炭船の入港で市の税収が増える。石炭の処理灰を火力隣接地などに運ぶトラックの運転手も必要になる。毎年のように億のカネが動く施設メンテナンスでは、大手メーカーなどから下請けする地元企業が恩恵を受ける。メンテは耐用年数の数十年続く。皮算用とはいえ期待が高まる。
 1、2号機建設で沸いた「火力景気」はしぼみ、中心市街地はかつての元気を失った。これを奇貨とし、3号機建設の特需を一過性にしない官民挙げた取り組みが求められる。動き出す巨額投資に合わせて感度の高いアンテナを張り巡らせ、商機をつかみたい。
   

 (若狭 基)


手作りの舞台をぜひ

(2014.2.23)

 能代市の歴史や環境問題などを題材にオリジナル劇を繰り広げる能代ミュージカル。新年号の企画をきっかけに、取材で関わることになった。
 能代ミュージカルは市文化会館の開館を記念して昭和55年に始まり、以来32回にわたって公演、すっかり地域に定着している。演者だけでなく脚本から演出、音楽に至るまですべてを市民有志が手掛けており、30年以上継続してきたことは並大抵のことではない。
 23日上演するの第33回公演「能代宇宙少年団物語」は、過去を題材としてきたこれまでとは打って変わり、現在から未来へ向けた夢と希望に満ちあふれた内容。ミュージカルキッズの20周年を記念して子どもたちが主役となっている点も面白い。
 同市は宇宙航空研究開発機構(JAXA)のロケット実験場があることから、「能代宇宙イベント」や「銀河フェスティバルin能代」など宇宙に関連したイベントが多い。また、市子ども館2階は「宇宙館」として人工衛星やロケットの模型などが多数展示され、「宇宙のまちづくり」に力を入れている。題材として宇宙を扱うことはより多くの人々の関心を集めることになりそうだ。
 さらに、子どもたちの宇宙や科学などへの探求心を育てる財団法人日本宇宙少年団(本部・東京都)の「ノシロ分団」が4月の設立に向けて準備が進められていることから、能代宇宙少年団物語という題名は時機的にもぴったりである。
 市文化会館での稽古に何度か取材に訪れたが、子どもから大人までみんなが生き生きとしており、稽古場は活気に包まれている。今回は突然の主役に子どもたちは驚きを隠せない様子だったが、「出番が多いのでやりがいがある」「自分の役を完璧にこなしてみせる」などと頼もしい声も上がっていた。
 長年参加を続け、初稽古から役に成り切るベテランも多い。舞台を完成させるという共通の目標に向け、世代を越えて取り組む参加者たちは固い絆で結ばれているように見え、稽古場にいる時は私自身も温かい輪の中にいるようだった。「1人ひとりが楽しんでいるからこそ30年以上も続いてきた」と改めて感じ、地域とのつながりの強さを知った。
 手作りのぬくもりが感じられる能代ミュージカル。ぜひ鑑賞してみてはいかがでしょうか。

(小林 佑斗)


冬季五輪に〝ハマる〟

(2014.2.16)

 時差5時間のかの地での熱き戦いにすっかりハマり、心地よい寝不足に陥る毎日だ。
 7日に開幕したソチ冬季五輪は折り返し地点。日本勢は序盤、スキージャンプの高梨沙羅ら期待の選手がなかなか結果を残せずにいたが、11日のスノーボードハーフパイプで平野歩夢が銀、平岡卓が銅に輝くと、ノルディック複合ノーマルヒルでは渡部暁斗が銀を獲得。そして14日夜(日本時間15日未明)、フィギュアスケート男子シングルで19歳の羽生結弦が見事金メダルを勝ち取った。午前3時に目覚ましをかけたかいがあったというものだ。
 ところで、メジャー競技・種目がそろう夏の五輪と違い、冬季五輪は「初めて見る競技」のオンパレードだったりする。中でも一番の新鮮はスノーボードのスロープスタイル競技。技の名前、採点基準などはよく分からないが、人間離れした大きなジャンプ、グルグル回転しまくる様子はまるでサーカスで、ポカンと口を開けながらただただ見入った。その中で8位入賞の角野友基はまだ17歳、4年後は表彰台の期待も抱かせてくれた。
 カーリングも見ていて楽しい。1エンド8個の石を交互に投げていくのだが、円(ハウスと呼ぶらしい)の手前にわざと置いてみたり、ビリヤードみたいに相手や自分の石を利用して外に弾き出したり、そうされないために石の後ろに隠すように投げ入れたりと、とにかく戦略が盛りだくさん。われらが「カーママ」たちはどうも苦戦気味だが、最後まで諦めずメダル争いに残ってほしいものだ。
 と、こんな感じで日本勢の結果に一喜一憂しているわけだが、4年に一度、夏も含めれば2年に一度訪れるスポーツの世界的祭典の盛り上がりを、入社以来いまだテレビの前でしか体感できていないのはやっぱり残念。お隣の大館北秋は今回の五輪にも2選手を輩出、その動向や郷土の応援熱を伝える他紙の紙面は、実に活気付いて見える。
 能代山本の五輪選手は1992年のバルセロナ大会自転車女子ロードに出場した鈴木裕美子さんが最後。せめて6年後の東京五輪には、一視聴者ではなく、ぜひわが社も興奮の渦中に“参戦”していたいと願う。

(平川 貢)


新鮮!発見!商店街

(2014.1.22)

 年明け早々、友人らから「新聞見たよ」と連絡があった。新年号の企画で行った能代市の商店街を物々交換しながら巡る「わらしべ長者物語」のことだった。私は交換した商品を持って店主と写真に写る要員として企画担当の先輩記者に同行した。
 昨年の新年号では能代市二ツ井町の商店街を舞台に行われ、今回は能代逸品会の加盟店から、異なったジャンルの8店舗を物々交換しながら巡った。友人から写真の写り方について駄目出しを受けたものの、「内容は面白かった」という声も。特に商店街に行くことが少ないと思われる同世代にも、企画を通して商店の魅力を伝えられたのではないだろうか。
 私にとってはほとんどが初めて足を運ぶ店舗ばかり。「駐車場がない」というイメージも強かったが「こんな所に!」という場所に設けられた駐車場と巡り合うのはまるで宝探しのような感覚で、ほかにも紙面では紹介し切れない発見がたくさんあった。
 スタートとなった毛糸の大阪屋では、店内の椅子に座り黙々と編み物をするお年寄りの姿があった。後から来た一人も加わり「どこまで進んだが」などと編んでいる物についてにぎやかに話し始めた。同じ趣味の者同士が集まる憩いの場として親しまれている様子は、商品を売り買いするだけではない場所として新鮮な光景だった。
 ご当地限定のキャラクターグッズから能代山本内外の菓子、県内の工芸品など多彩な品が揃(そろ)う藤長では、店主の佐藤崇史さんの工芸品への思いを聞いた。2階が専用の展示スペースとなっていることからもこだわりを感じる。「若い人にも工芸品の良さを知ってもらいたい」と私の意見も聞いてくれ、企画で交換する商品を真剣に選ぶ姿が印象的だった。
 これまでも取材を通して商店街の人たちと言葉を交わし独特の居心地の良さを感じていた。しかし、買い物のために足を運んだだろうかと考えると正直あまり思い当たらない。単純に「行ったことがないから」と言い訳していたのかもしれない。企画で巡ったどの店舗も欲しい物を購入するだけで終わらない「プラスアルファ」があった。最初の一歩さえきっかけをつくることができれば、いろいろな人を巻き込んでいける魅力がこの街の商店街にはあるのだ。

(佐藤 詩織)


一同、今年も頑張ります

(2014.1.16)

  本紙元日付「お年玉付き・2014年写真入りニュースクロス」クイズに、今年も多くの読者から応募をいただいた。当選された方、おめでとうございます。残念だった方、来年も懲りずに挑戦してもらえれば幸いです。また、応募はがきに新年号の感想や普段の紙面に対するコメントの記入をお願いしたところ、今回もさまざまな声が届いた。当欄を借りて、その一部を紹介します。
 まずは新年号全体の感想から。「内容の濃い記事ばかりで見ごたえあり」(三種町鹿渡、自営業男性・64)、「大変バランスの良い内容」(能代市字東大瀬、男性・44)、「固いニュースばかりでなく娯楽の要素がたっぷりあり、お正月に相応しい」(三種町天瀬川、会社員女性・54)。“甘口”はご祝儀としても、年末の残業が報われる思いです。
 企画物では2年目を迎えた「わらしべ長者物語」に対し、「市内の各商店をPRしてもらえたのに好感が持てた」(能代市字大曲、女性・41)、「滑稽でした」(同市字宮ノ前、主婦・59)などの反響があり、写真の“モデル”に起用された若手女性記者には「笑顔がいい感じ。がんばって下さい!!」(同市二ツ井町字薄井、中学3年女子)の激励も。そのほか「新年から選挙の情報。すごい」(八峰町峰浜石川、パート女性・48)、「馬肉料理のお店の特集が大変よかった」(能代市槐、団体職員男性・27)、「懐かしい人の寄稿があって、往時をしのび若かりし日を思い出した」(能代市落合、女性・79)などが寄せられた。
 日ごろの紙面には「文字が見やすく大きくなり、カラーも素敵」(同市長崎、男性・72)、「会社の社長たちの記事などあったら」(同市二ツ井町飛根、家事手伝い・26)、「スポーツ情報の充実を」(三種町芦崎、パート女性・48)との感想、要望が届いた。「身近なニュース、出来事は北羽から」(同市二ツ井町字飛根、会社員男性)の言葉は何よりの“お年玉”。気持ちが奮い立ちます。
 クイズの答え「コトシハキツトハツピーナトシ」にかけて、「ハッピーな記事、ニュースが多い1年になるように期待」(同市桧山町、女性)との声もあった。願いはわれわれも同じ。「朝に地元の明るい話題を見つけると、その日1日が幸せな気分になります」(三種町森岳、病院職員女性・60)。そんな朝を1日でも多く届けられるよう、編集局一同、今年も頑張ります。

(平川 貢)

2017 想風

2016 想風

2015 想風

2013 想風

2013 風

2012 風

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