知事選の歴史と因縁

(2月24日)

 立候補予定者の事務所開きの報道が続いたり、その人の政治団体が発行する政策パンフレットが家庭に届いたりしているためか、県知事選を話題にする人が能代山本でも増えてきた。先日は「がぢゃめできたな」とあれこれ予想する男性がいた。
 「がぢゃめぐ」は、雨や雪解けで道路がぐじゃぐじゃになったりぬかるみができた状態を言い表す方言。その人が「ごっちゃ」を「がぢゃ」と誤用したとすれば、その場合は「ごっちゃ混ぜ・入り交じった状態」を指す。
 3月18日告示の知事選には、現職で4選を目指す佐竹敬久氏(73)=秋田市、元衆院議員の村岡敏英氏(60)=由利本荘市、県美容生活衛生同業組合前理事長の山本久博氏(69)=秋田市、新日本婦人の会県本部前事務局長の相場未来子氏(50)=能代市=の4人のほか、秋田市の自民党の鈴木健太県議(45)が出馬を検討と伝えられたことで、「ごっちゃ」と感じたようだ。
 別の知人は、知事選と秋田市長選の歴史を振り返りつつ、登場した政治家の因縁を思ったそうだ。
 食糧費問題で任期途中で現職が辞職した平成9年の知事選で佐竹氏と寺田典城氏が争い、寺田氏が勝利。13年は寺田氏に村岡氏の兄の兼幸氏が挑んだが大敗。佐竹氏は寺田氏退任後の21年に初当選、25年に無競争。29年には佐竹氏に寺田氏が挑むも敗退している。
 一方、秋田市長選では平成13年に佐竹氏、穂積志氏ら5人が争い、佐竹氏が当選し2期連続。佐竹氏が知事に向かった21年に穂積氏は初当選、4年後は寺田氏の次男で衆院選落選中の学氏の挑戦を受けるも退けた。
 佐竹氏は自民党、社民党の支持のほか、公明党の推薦を得ているが、自主投票の立憲民主党の寺田学衆院議員が個人的な支持を表明した。一方、村岡氏を自民党県連重鎮だった県議が離党して応援している。
 かつて対立した人や組織が手を組んだり離れたり。複雑な背景と思惑があるとみられ、「がちゃめぐ」と思わせるのか。(八)


 

「鬼滅の刃」シニアも楽しむ

(2月11日)

 大型店の書籍コーナーで雑誌を立ち読みしていると、「たたかえーっ、たたかえーっ」と絶叫が何度も聞こえてきた。耳障りで、「チッ」と心の中で叫んでしまう。昨年末から行くたびに毎回。
 声が流れてくる方向に行くと、人気だという漫画「鬼滅の刃」のコミック本がずらりと並べられ、その一角にある小さなテレビが同名の「無限列車編」のアニメーション映画の予告編を繰り返し上映していた。漫画もアニメも一大ブームだが、それは子どもや若い世代であって、年を重ねた者は大げさでうるさそうな印象を受け、人間が鬼と戦う物語ぐらいしか知らず、さして興味は持たないでいた。
 そのアニメ映画が能代市柳町のイオンファミリーシアター能代で5日から上映を開始。本紙記事では「毎回多くの市民が足を運び、迫力と感動が詰まった物語を存分に楽しんでいる」と紹介、中高年の姿もあるとしていた。
 それで「そんなに話題なのか」と思い、平日の朝一番の上映に出掛けた。アニメ映画を劇場で見るのは、2年前の「天気の子」以来。すると、20人以上の観客がおり、八峰町の60代後半の知り合いの夫婦までいて、お互いが「こんなところで会うとは」と苦笑いした。
 鬼に殺された家族の仇(あだ)を討つため鬼殺隊に入隊した心優しい主人公の少年が竈門(かまど)炭治郎、鬼になってしまった妹が禰豆子(ねずこ)であることも初めて知って、物語の背景も分からぬままに観賞。大仰な表情や急なコメディーなどに戸惑いつつも、次の展開はどうなるのか、主人公らは大丈夫なのかと引き込まれていった。
 それは親子の情、兄弟姉妹の思いやり、仲間との友情、チームワーク、そして屈しない勇気など、今に生きる人々に必要なことのメッセージがちりばめられているからだ。さらに言えば「生き方」も問うから。
 子どもの頃のわくわく感を覚えるシニア世代も楽しめる作品を能代で見ることができる。その僥倖(ぎょうこう)に恵まれたことを喜んだ。(八)


 

コロナ禍、知事選の戦い方は

(2月4日)

 能代市内の空き店舗に政治団体の街頭演説会を知らせるポスターが3連で張ってあった。知事選(3月18日告示、4月4日投開票)に立候補を表明している元衆院議員の村岡敏英氏(60)=由利本荘市=と自民党県連の重鎮だった鈴木洋一県議(76)=大館市=の顔写真が大きく載っていた。
 鈴木氏は、現職で4選を目指す佐竹敬久氏(73)=秋田市=を支持する同県連と袂(たもと)を分かち離党、村岡氏を支援しており、ポスターは、県北に影響力のある鈴木氏の顔を出すことで、保守分裂の知事選となることを印象づけている。
 その村岡氏は1月31日に秋田市で後援会事務所開き。立候補表明後の昨年末から知人を介して何回か知名度の薄い能代山本入り。コロナ禍では3密回避の感染防止対策が求められ、少人数で対話活動をして浸透を図ろうとしている。
 一方、佐竹氏はコロナ対応、新年度予算、県議会と現職の忙しさがついて回り、具体的な動きは議会閉会後となるとみられる。昨年2月に予定していた大規模のスプリングフォーラムは延期、新年にも開催する見込みだったが、コロナで再延期となった。
 公明党県本部や県農政連などの推薦も得て、今後も幅広い団体から支持・推薦がありそうで、諸団体が動けば能代山本でも、事前の浸透作戦が活発化すると思われるが、コロナ禍で動員型が無理な状況で、どのような手法をとるのだろうか。
 立候補予定者はもう1人。秋田市の美容室経営者で、県内ではいち早く風力発電事業に取り組んだ山本久博氏(69)で、先月24日に後援会事務所開きを行った。
 能代山本に知己がどれほどいるのかは分からないが、秋田市の知人は熱心な支援者で、さまざまな情報発信をしており、閲覧者も少なくない。
 佐竹県政の継続か転換かが問われ、今のところ3人で争われる見通しの知事選。コロナ禍で戦い方も様変わりしそうだが、秋田の未来に向けた熱い訴え、政策を聞きたいものだ。(八)