
地域のチカラ 元気吹き込む④
SNS つながり生む
能代バスケミュージアム 菊地 香織さん(46) 能代市西大瀬

「バスケの街のしろ」の拠点施設・能代バスケミュージアムからSNSで情報発信しているのがこの人。X(旧ツイッター)やインスタグラムを使い分け、ほぼ毎日更新している。「日々の投稿が、バスケの街や能代科学技術高バスケ部を知ってもらえる入り口になればうれしい」との思いを込める。
中心市街地の空き店舗を活用して開設するバスケミュージアムは、バスケ関連の資料や書籍など約1万点を展示する。令和4年12月公開のアニメ映画「ザ・ファースト・スラム・ダンク」が国内外で大ヒットすると、作中の「山王工業」のモデルとされる能代工高がある聖地として脚光を浴び、それまで年間3~4千人台だった来館者が1万6千人(5年度)に急増。6年度も12月末現在で1万3千人が訪れ、依然として勢いが続いている。
特徴的なのが繰り返し訪れるリピーターの存在だ。いわゆる聖地巡礼で能代に初めて足を運んだ人たちが、また来てくれる。つないでいるのがSNSによる情報発信だ。バスケミュージアムの展示内容などはもちろん、能代科技バスケ部やOBたちの情報、大会の結果速報、Bリーグなどバスケ全般に関する情報を能代に関連付けて発信する。
「スラムダンクをきっかけに能代を訪ね、バスケそのものの楽しさを知り、能代科技のファンになったという人もたくさんいる。能代科技の情報を基本にしながら、幅広い情報を発信することを心掛けている」。Xは1日当たり1、2回、大会で能代科技などの試合速報が絡むと10回近く更新する。
菊地さんは大学卒業後、地方紙の記者になり、結婚後は育児の傍らスポーツ専門誌のライターも経験した。バスケに興味を抱いたのは長男がミニバスを始めてからで、バスケミュージアムには令和3年4月に市の会計年度職員として採用。情報発信には記者時代に培った経験も生かしている。
インスタグラムは昨年5月から始めた。自ら撮ったバスケのプレー写真などをアップしているが、望遠レンズで選手の勇姿に迫ったり、なかなかの腕前である。「中高校生にはインスタが主流。発信手段を広げた方が多くの人に見てもらえる」と考えたからだ。フォロワー数(2月12日現在)はXが1万378人、インスタグラムは2587人だ。
先日の能代科技の全県新人優勝の投稿は高い関心を集め、フォロワー以外の人からも多くの「いいね」が付いた。「かつての能代工のように強いから応援するというよりも、頑張っているから応援したいという人が多いと感じる。もう一度、全国で勝ち上がれるよう成長を見守りたいのだと思う」とファン心理を語り、「全国で勝ち進む能代科技を投稿できる日が楽しみ」と笑顔を見せた。
(伊藤 仁)