2021五差路

2022五差路

 

2023年振り返る

(2023.12.4

 早いもので、もう師走。残り1カ月を切った今年は、読者の皆さんにとってどのような年でしたか?
 暗いニュース、明るい話題、さまざまあった能代山本。昨年の小欄でもしたように全国郷土紙連合(12社加盟)のホームページ(HP)に掲載した北羽新報の記事で、アクセスが多かったものを紹介し、2023年を振り返ってみたい。
 HPに載せたのは今月3日までに275本。このうち、6月8日に「能代銘菓『東雲羊羹(ようかん)』の熊谷長栄堂 今月末で閉店」の見出しで掲載した記事は、週間、月間アクセスランキング1位となり、1カ月以上にわたってトップ5入り。186年の歴史に幕を下ろす老舗店への関心は非常に高かった。
 4月14日に掲載の「映画『スラムダンク』効果 能代バスケミュージアム来館者増」も週間、月間とも首位。スラダンの「聖地」として知られるようになった能代市には今年、国内外から多くの人が「巡礼」に訪れている。それを裏付けるような注目度だった。
 また、1月の銭湯「巴湯」の営業終了、3月の秋田港・能代港洋上風力発電所竣工(しゅんこう)式、4月のサクラマス釣り解禁、米代川二ツ井地区河川防災ステーションの全国初「MIZBE(みずべ)ステーション」登録なども週間1位。中国木材能代工場、7月のモータ燃焼試験中に爆発を起こした能代ロケット実験場関連も閲覧が多かった。
 12月は例年、ハタハタに注目が集まる。一昨年、昨年とも関連記事3本が週間ランクイン。能代科学技術高が出場するバスケのウインターカップなども控えている。最後は明るいニュースで締めくくりたい。そう期待している。(工)


 

ナカジマジックの「タネ」

(2023.11.16

 プロ野球日本シリーズは阪神タイガースが制し、38年ぶりの日本一に輝いた。第7戦までもつれた頂上決戦、北秋田市出身の中嶋聡監督率いるオリックスバファローズの健闘も光った。
 中嶋監督は鷹巣農林高から昭和61年のドラフト3位でオリックスの前身の阪急ブレーブスに入団。強肩捕手として、西武、横浜、日本ハムと移籍し、両リーグ最長となる実働29年の記録も残る。
 現役時代、地元の鷹巣に帰郷した際や公式戦で秋田入りしたときなど、何度か取材の機会があったが、多くを語らず朴とつとした受け答えは今もそのままだ。秋田市の八橋球場で能代市出身の高橋功一投手とバッテリーを組み、そのベンチには同市出身の山田久志投手コーチがいたのを思い出す。
 日本ハムのゼネラルマネジャー特別補佐、同球団と業務提携を結ぶ大リーグのサンディエゴ・パドレスへの派遣、日ハムコーチなどを経てオリックス2軍監督に就任、令和2年途中から1軍監督代行、翌季から監督として采配を振るうと、最下位だったチームがそこからリーグ3連覇。いずれも日本シリーズに進出、昨季は日本一となった。
 普段から2軍の試合もチェックし、目に留まる選手がいればすぐに昇格させて起用、選手を育てながら「全員野球」で勝つ野球で、リーグ戦は143試合で141通りの打順を組んだ。若手のやる気や中堅・ベテランの緊張感を引き出し、常に最善を尽くす戦術だ。
 「ナカジマジック」と称される采配には、日頃から選手1人1人に目配り、気配りするという「タネ」がしっかりある(池)


 

クマ対策、今しっかり

(2023.11.9

 数年前、秋田自動車道・三種町天瀬川付近を秋田市方向へと走行していると、100㍍ほど先を「黒い個体」が横切っていくのが見えた。生まれて初めての〝目撃〟に驚いたが、今なら同時に恐怖感も覚えるだろう。
 県内では今年、クマの人身被害が後を絶たない。県によると、4月から今月7日までにクマに襲われるなどして負傷した人は65人。昨年度は年間で6人で、いかに異常事態かが分かる。
 輪をかけて異常なのが、65人のうち56人が山ではなく「里」で被害に遭っていること。背景には、クマの餌となる木の実の大凶作などがあり、冬眠前に腹を満たす必要があるクマが、食料を求めて人の生活圏内をうろうろしているのだ。まさにいつ誰がどこで被害に遭ってもおかしくない状況だ。
 県民が今すべきは、行政の呼び掛けに沿ってクマに出合わない対策、出合ってしまったらどうするかの対応を各自徹底することに尽きる。まずはクマが冬眠するまでの間を、何とか乗り切るしかない。
 そこを切り抜けたら個々ではなく、社会全体で、クマを人の生活圏に入り込ませない対策に取り組む。行政は必要な予算を付け、人的資源も対策に振り向けていく必要がある。
 クマの生態に詳しい県立大生物資源科学部の星崎和彦教授は「次の大凶作の時には、秋田は人口も社会もさらに縮小している。今対策に動かなければ、一生できない」と語る。クマはもはや「迷惑動物」ではなく、人里に現れたらそれは「害獣」だ。県民みんなで立ち向かうためにも、その認識を共有するところから始めたい。(平)


 

記録的な酷暑去って…

(2023.10.25

 8月の使用電力量も、電気料金も、わが家史上、過去最大であった。なにぶん、エアコンが1台増えた。なんの虫の知らせがあったわけでもないが、6月設置。結果、「ああ、良かった」である。まさかあんなに暑くなるとは。最大3台が稼働、室外機が排出する温風もマシマシで、地球温暖化に加担した気がしないわけではない…地球よ、すまぬ。
 さすがに秋らしくなってきた。この夏の備忘に、能代市能代地域のデータをいくつか見てみる。

 最高気温が30度以上の日数は7月は8日、8月が31日(つまり毎日)、9月は10日。8月は35度以上がそのうち11日で、最低気温が25度以上(いわゆる熱帯夜)も17日あった。月平均の日最高気温は7月27・8度(平年26・7度)、8月は34・1度(同28・7度)、9月27・8度(同24・9度)。日最低気温は7月21・6度(同19・6度)、8月25・1度(同20・6度)、9月19・6度(同16・1度)。日平均気温は7月24・4度(同22・8度)、8月28・9度(同24・3度)、9月23・3度(同20・2度)。
 昭和51年以降の観測史上トップ10を見ると、日最高気温は8月10日の38・4度が2位で、5、7、10位にもランクイン。日最低気温の1位は40年ぶりに代わり、8月24日の27・0度に。以下、3位と10位以外のランクを奪取。8月が月平均気温1位を24年ぶりに更新。7月は1日で180㍉の大雨、8月は1カ月で8・5㍉の少雨で、史上最多と最少。健康や暮らし、生産に、大きな影響を及ぼしたことは、記録しておきたい。
 きのう24日の最低気温は6・6度。懐かしささえ覚える、あの酷暑からの落差、実に31度超。体調にはお気を付けください。(渡)


 

「記事の基本」を胸に

(2023.9.26

 記事を書いたり直したりする際に参考にしている北羽新報の記者必携の「用字用語ブック」(時事通信社)が7年ぶりに改訂された。
 この間、人工知能(AI)の活用が進むなど、社会は大きく変化しており、最新の第8版では、時代の動きに合わせて用語の入れ替えを行ったほか、外来語や外国地名、運動用語、特定商品名などの表記を見直したという。
 ウクライナの首都は「キエフ」から「キーウ」となり、最近の紙面に頻出する「SDGs(持続可能な開発目標)」が加わった。ほかに「デジタルトランスフォーメーション(DX)」「メタバース(インターネット上の仮想空間)」「アバター(分身)」「NFT(非代替性トークン)」も。いまいちのみ込めていないが、こうしたデジタル技術に関連する言葉は、今後ますます重要となるだろう。
 新たな言葉は当然ながら、気を付けなければならないのが、用字用語の使い方の変更。例えば「掛かる」。第7版までは漢字だった「気がかり」「経費・コストがかかる」「迷惑がかかる」は、平仮名書きが推奨されるようになった。
 改訂によって手に取る回数が以前より増えた用字用語ブック。冒頭にある「記事の基本」が目に留まった。
 そこでは、「何がニュースか判断」「見出しは10字以内」「結論を先に」「文章は短く」「何もかも詰め込まない」「送稿前に読み直す」といった項目を立てて解説。ニュース、情報の伝達を目標とする記事の文章は「簡潔で分かりやすくなければならない。読んでもらえなければ、目標を達成できず、意味がない」と。改めて胸に刻もう。 (工)


 

「県北の翼」の節目に

(2023.9.8

 大館能代空港が開港から25年を迎えた7月18日、ターミナルビルで記念のセレモニーが行われた。記録的大雨による被害直後で、予定した内容を縮小しながらも、関係者で「県北の翼」として定着した空港の節目を祝った。
 国土交通省の「羽田発着枠政策コンテスト」で念願だった3便(往復)目の東京便の運航枠を獲得し、昨年7月からは全日3便運航となり利便性が向上した。セレモニーでは、7年3月29日までとされている3便化のさらなる継続へ力を結集することも誓った。
 利用実績を高めようと、圏域自治体は東京便を利用した住民に対し助成金事業に取り組んでいる。金額は大館、鹿角、北秋田3市と上小阿仁村が片道5千円、小坂町は3千円、能代山本4市町は横並びで2千円だ。
 助成額から、大館北秋、鹿角地域住民は大館能代を「最寄りの空港」とし利便性向上に力を入れるが、能代山本住民は秋田空港もあり、それを必須とはしないのだろうかと、〝温度差〟を感じる。
 先のセレモニーでは空港利用促進協議会会長の福原淳嗣大館市長、空港ターミナルビル社長の津谷永光北秋田市長、関厚鹿角市長らがくす玉開きを行い、「はちくん」(大館)、「バタもっち」(北秋田)、「たんぽ小町ちゃん」(鹿角)、県の「んだっち」とマスコットキャラクターも並んだ。能代山本の首長、マスコットの姿はなく、圏域の一体感醸成には至らなかった。
 「大館能代」と冠した県北空港。開港時とは取り巻く状況も変わった。4半世紀を迎え、これを活用した圏域一丸での地域づくりをどう展開するかが課題だ。(池)


 

災害級「令和5年猛暑」

(2023.8.29

 昭和58年の日本海中部地震、平成3年の台風19号被害、23年の東日本大震災──。市民生活にまで影響を及ぼす大きな災害は、その発生年(場合によっては年月日まで)とセットで深く記憶に刻み込まれている。昨年や一昨年の夏の暑さがどうだったかすぐに思い出せないけれど、「災害級」と言われる「令和5年夏の猛暑」を、おそらく忘れることはないだろう。
 秋田地方気象台によると、能代市能代地域は7月27日からきのう8月28日まで、最高気温が30度以上の「真夏日」が33日間連続。昨年は1日もなかった35度以上の「猛暑日」は9日あり、今月10日には統計開始の昭和51年以降で2番目に高い38・4度まで上昇した。
 気象庁・環境省からは、熱中症の危険が特に高まることを知らせる「熱中症警戒アラート」が連日のように発表され、消防によると、熱中症とみられる症状での救急搬送は今夏、90人にも上っている。また猛暑に加え、8月は雨もほとんど降っておらず、特産ネギの生育不良やキャベツの苗の枯死が確認されるなど農業被害も徐々に広がりを見せている。
 民間の気象情報会社のサイトを見ると、「真夏日記録」が今月いっぱい継続するのは確実で、それ以降も9月前半までは30度前後の日が続きそう。暑さはもううんざりだが、人も作物もできる対策をして、まずはこの「記録的残暑」を乗り切りたい。
 7月には記録的大雨による水害があったほか、今後は台風被害にも警戒が必要なシーズンに入る。令和5年が「夏の猛暑」以上の災害で記憶に残る年にならないことを願うばかりだ。(平)


 

マスクなしの笑顔で

(2023.8.18

 能代山本4市町は20歳を人生の節目とし、14、15日に成人式や「二十歳のつどい」など門出を祝う催しを開いた。変化は目で見て明らか。出席者にマスク着用派は少数だった。新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが、季節性インフルエンザと同じ「5類」に変更され3カ月余が経過する。
 能代市成人式の場合、2年度は再々延期の末に中止、3年度は1年延期。4年度は会場の市文化会館の出入り口に手指消毒と検温コーナーを設け、座席には「ここには座らないで」と書いた紙を一つ置きに張って出席者同士の距離を確保するなど、感染防止策を講じて開催にこぎつけた。マスク着用率は100%(だったと思う)。
 さて今年は。対策の要点を押さえたのか、座席の一つ飛ばしの制限や特設検温コーナーはなし。出席者はマスクなしが圧倒的多数で、若者たちの晴々とした笑顔が広がるって、いい光景だ、と、素直に思った。青春真っただ中で、進学・就職という大きな選択にも迫られる高校3年生の時から新型ウイルスに翻弄(ほんろう)されてきた学年だから、なおのこと、そう感じたのか。
 一方で、本県の新型コロナ感染症の患者数は、全国的には少ない方だが、増加傾向。能代保健所管内は夏本番の到来と歩調を合わせるように、急に増えてきた。
 インフルエンザのように1定点医療機関当たり何人の患者が報告されたら「注意報」「警報」といった基準は、ない。コロナ禍前の生活へ、確実に回帰していっている今だからこそ、誰かの注意喚起を待つのではなく、感染予防と、感染したら周囲にうつさない行動を忘れないようにしたい。(渡)


 

あの草の名は

(2023.7.27

 庭に作ったささやかな家庭菜園の収穫が忙しくなってきた。素人には食べ頃の見極めが難しく、タイミングを逸してしまうことがよくある。そのため日々の観察が大事と心掛けている。野菜を見ていて、気になるのが雑草だ。その成長の早さには驚く。抜いても、抜いても生えてくる厄介者に手を焼いている。
 NHK連続テレビ小説「らんまん」で、主人公の槙野万太郎が「雑草ゆう草はないき。必ず名がある!」「まだ見つかってない草花ならわしが名付ける!」と植物への思いを熱弁する印象的なシーンがある。
 主人公のモデルは、植物学者の牧野富太郎博士(1862~1957年)。94年の生涯で約40万の標本を採取し、新種や新品種など1500以上の植物に名を付けたことで知られる。トラノハナヒゲ、オトコラン、オオイヌノフグリ、ハキダメギク、ワルナスビなどユニークな命名も多く、スエコザサは妻の名にちなんだものだという。
 植物には正直疎い。雑草という言葉でくくり、迷いなく駆除してきた草の名を調べると、よく抜いているコニシキソウは1895年に牧野博士が東京と横浜で発見した北アメリカ原産の帰化植物だということを知った。
 草の名を調べるのにはインターネットを駆使。膨大な画像の中から同じものを探し出す。わが家の庭にはカタバミ、スギナ、スズメノカタビラ、オオバコ、スベリヒユ、メヒシバなどが自生しているのが分かった。結構な種類だ。判然としないものがまだ幾つもある。すべての名を特定しようと思う。牧野博士になった気分で。(工)


 

スポーツで「熱い夏」に

(2023.7.5

 週末を中心にスポーツ大会が盛んで、小中高校の選手たちが上位大会出場を懸けて熱戦を繰り広げている。最上級生にとっては、敗れると「最後の舞台」となるだけに、選手たちは全力を尽くし、懸命なプレーの一場面が紙面を飾る。 
 地元関係選手の活躍を伝えたいと、高校生や一般が参加する大会では能代山本出身選手の結果も加えるように努めている。大会記録には、選手の経歴までは記載されず、記者の記憶や過去記事を頼りに関係選手がいないかを点検する。
 高校で新たな競技に挑む生徒や、中学時代は上位に名前がなかったが高校になって活躍する生徒もおり、完璧には拾い切れず、保護者や出身中学関係者から指摘を受けることもある。
 県外の強豪校に進み競技を続けている生徒もいて、以前その保護者から、その県の大会の結果も掲載してほしいとの要望もあったが、すべての大会情報を網羅するのは困難なことから、「東北大会や全国大会等で記録に載れば記事にしたい」と理解してもらった。
 「決戦の夏」はまだまだ続く。甲子園切符を懸けた全国高校野球選手権秋田大会ももうすぐ開幕、全県中学総体は15日から集中開催、25日には北海道で能代科学技術高が臨む全国高校総体(インターハイ)バスケットボール競技が始まる。
 昨年は能代松陽が平成23年(当時能代商)以来11年ぶりに甲子園切符を獲得、地域が沸いた。すでに全国行きを決めた団体、個人もいる。スポーツに祭り、イベントも加え、今年も「熱い夏」の、にぎやかな紙面を届けたい。(池)


 

聖地巡礼ツアー

(2023.6.27)

 先日能代市で、「スラムダンク聖地巡礼ツアー」が開かれた。昨年12月公開のアニメ映画「THE FIRST SLAM DUNK」が日本のみならず、韓国、中国でも大ヒット。映画にも登場する強豪校・山王工業のモデルが旧能代工高(現能代科学技術高)とされ、ファンによる「聖地巡礼」も盛り上がっていることにあやかって、市地域おこし協力隊や能代バスケミュージアムが中心となり初めて企画された。
 韓国からの7人を含む22人が参加したが、取材して、その「熱量」に驚いた。多くが20〜40代の女性で、山王工業関連のグッズを身に着け、登場人物のフィギュアなども持参。能代駅から能代科技高までの徒歩での道すがら、バスケ関連の絵や造形物と出合うたびに歓声を上げ、即席の撮影会へと突入、すぐさまSNSに投稿している姿も見られた。
 愛知とソウル、それぞれから来た参加者に話を聞くと、「めっちゃときめく」「来て良かった」と共に満足げ。一方で能代は交通の便が悪く、やっとたどり着いたとの〝苦労〟も口にし、それでもなお、能代を目指してやって来てくれたことに、市民の一人として、何ともありがたい気持ちになった。
 市議会6月議会の一般質問で、斉藤市長は「アニメツーリズム」の受け入れに意欲を見せ、バスケの聖地にふさわしいコンテンツの充実を図る考えを示した。インバウンド(訪日外国人旅行者)需要が回復する中、能代は今、「遠くても行きたい」と思わせるキラーコンテンツを手にしている。鉄は熱いうちに、熱は冷めないうちに。本腰を入れた取り組みに期待する。 (平)


 

言葉録でコロナ禍を

(2023.6.15

 用語集はないものか、と、今にして思う。新型コロナウイルスが初確認された元年12月以降、新語や造語だけでなく、既存の言葉も、使用頻度が急増したり、一つの意味が強調されたり、代名詞になった。
 例えば「密」。密閉、密集、密接を差した「三つの『密』」が「3密(さんみつ)」に短縮され、さらに「密」へ。都知事が鋭く言う「密です」は、そのひと言で「感染防止のため、お互いに離れましょう、距離を取りましょう」という注意となった。
 そもそも「コロナ」だって。元は王冠や光冠を意味し、その形に似ているからコロナウイルスと呼ばれ、それはいくつもあるのだけれど、今や新型コロナウイルス感染症という病名であり、新型コロナウイルスという病原体を差す。
 「5類」移行後、日常の行動は変わってきたが、終息したわけではない。いま一度、言葉を手掛かりにコロナ禍を思い返してみたい。ほんの少々の例を挙げてみる。
【あ行】新しい生活様式、アベノマスク、一斉休校、ウィズ・コロナ、エアロゾル、エッセンシャルワーカー、オミクロン株、オンライン○○(授業、飲み会など)【か行】外出自粛、休業要請、緊急事態宣言、クラスター、抗原検査、行動制限、GoToトラベル、コロナ禍【さ行】在宅勤務、自粛警察、自宅待機、手指消毒、人流、巣ごもり需要、ステイホーム、ソーシャルディスタンス【た行】テークアウト、デルタ株【な行】ニューノーマル、濃厚接触者【は行】パンデミック、PCR検査、非接触、誹謗中傷、飛沫感染、フェースシールド、不要不急【ま行】マスク会食、まん防、無観客、面会禁止、黙食【や行】夜の街【ら行】リモートワーク、ロックダウン  (渡)


 

七番勝負の行方は

(2023.6.4)

 囲碁の第78期本因坊戦七番勝負第2局が先月28、29の両日、能代市柳町の旧料亭金勇で行われた。
 今シリーズに12連覇が懸かる井山裕太本因坊=王座、碁聖と合わせ三冠=。同市で初めての本因坊戦は9年前の平成26年(第69期)だから、金勇で打たれた5度の全対局に臨んだことになる。
 一方、挑戦者は伊田篤史九段、高尾紳路九段、山下敬吾九段、芝野虎丸九段(名人・十段)、一力遼棋聖とすべて顔触れが異なる。
 今年の挑戦者の一力棋聖は、東北のブロック紙、河北新報社の創業家出身で、トップ棋士でありながら新聞記者の肩書きを持つ「二刀流」としても知られる。同紙に執筆しているコラムがおもしろい。
 最近では、年末年始の約10日間を除きオフシーズンがないという「棋士の一年」に感心した。ほかにも2022年は女性の躍進が目立ったとし、この年に金勇の女流本因坊戦で対戦した藤沢里菜六段(女流本因坊)や上野愛咲美四段(女流名人・女流立葵杯)らを取り上げたり、さらには碁盤と碁石、タイトル戦の裏側、師弟関係など、興味深い内容を素人にも分かりやすく紹介している。
 その一力棋聖が金勇での対局を制した。これで2連勝となり、初の本因坊獲得にさらに一歩前進。しかし、まだまだ七番勝負の行方は分からない。第76期(令和3年)で芝野九段と対戦した井山本因坊は、金勇での第2局から3連敗を喫し、1勝3敗のカド番に追い込まれてからの3連勝でタイトルを守っている。
 第3局は6、7の両日に東京の神田明神で行われる。名局を期待する。(工)


 

洋上にタイムカプセル

(2023.5.17

 能代港の洋上に立つ風車に、今春の小学校卒業生が未来の自分へ宛てて書いた手紙などを入れたタイムカプセルが収められた。国連がSDGs(持続可能な開発目標)の数値目標達成を目指し、子どもたちが20歳を迎える「2030年」に開封しようと、風力発電所の管理会社が企画。能代市内7校それぞれ1基が割り当てられ、今月中にすべて収納を終えるという。
 かつて、タイムカプセルの埋蔵や開封を何度か取材したが、開封の際は、いずれも発掘に苦労していたのを思い出す。
 平成15年8月に、昭和59年の藤里町藤里小卒業生たちが卒業記念で校舎脇に埋めたカプセルを開封した時は、発見まで2時間近くを要した。「20年後に開けよう」との約束で、当時の担任教諭も駆け付け、記憶をたどり埋設場所を掘る作業を進めたものの、難航。
 三種町内の小学校で、卒業時に埋めたカプセルを成人式の時に開封した際も同様だった。関係者は皆、「記憶」はあいまいで、何か「記録」が必要だったと反省していた。
 以前、市内の男性から旧渟一小が創立100周年を迎えた昭和49年ごろ、当時の6年生がカプセルにさまざまなものを入れ、「100年後に掘り起こそう」と、校舎の桜の木のそばに先生たちが埋めたようだが、場所が分からなくなっているとの話があった。
 男性は「のちに万一、掘り起こしてカプセルが出てきたときに『何これ』とならないよう、埋めている事実を、誰かが語り継いでいかねば」と心配していた。
 洋上風車に収めた「宝物」。場所は目に見え探すことはないだろうが、語り継いで、忘れずに。(池)


 

議員のなり手確保へ一手

(2023.5.6

 統一地方選がこのほど終わった。能代山本地方は「後半戦」(先月23日投開票)の選挙はなく、ただ結果に触れるのみだったが、一連の報道である事例に興味を覚えた。
 長野県木祖村の現職村議10人全員が、昨年12月議会最終日に4月の選挙に向けて一斉に「進退表明」したという取り組みだ。議員のなり手不足が問題化する中、まずは自助努力として現職が早めに態度を明らかにすることで議会に注目を集め、新人の立候補者が現れるのを狙った。
 その効果からか、定数1減の9議席を争う選挙には新人2人を含む計10人が立候補し、選挙戦に。初当選を飾った新人の女性は「現職の態度表明は、立候補のきっかけになった。若手や女性が少ない状況を知り、議員になろうと決意できた」と振り返った(先月25日付、読売新聞オンライン)という。
 木祖村議会がこの後、どうなっていくかは分からない。ただ今回のような取り組みができた議会は、加わった新しい「仲間」と共にまた新しいユニークな何かを村民に見せていくはず。そうすれば議会への関心はさらに高まり、4年後は志を持つ新たな人が名乗りを上げる──。風が吹けば桶屋がもうかるではないが、現職の早期の進退表明の先にはそんな明るい未来まであると考えてしまったのは、少し評価のし過ぎか。
 議員のなり手不足の要因の一つに、議会・議員の魅力欠如が指摘されている。この解消は、現職の議員たちの力なくしてできないことだ。当地でも、早期の進退表明に限らず、そこに対してできる「自助努力」がもっとないのか、議論が活発化するのを願う。

(平)


 

「死に票」の願い、生かして

(2023.4.21

 「死に票」あるいは「死票」。嫌な言葉だが、当選に結び付かなかった票のことを差す。9日投開票が行われた県議選の能代市山本郡選挙区では、有効投票のうち36・9%を占めた。能代市に限ると46・2%に達した。それだけ接戦・激戦だったということだろう。
 能代市選挙区と山本郡選挙区が合区された平成19年から数えて5回目(29年の補欠選挙を除く)で、〝死に票率〟は選挙区全体も能代市も過去最高を更新。藤里町も12・8%で過去最高だった。三種町は今回17・6%、過去最高は23年の28・2%。八峰町は今回が27・0%、過去最高は27年の33・5%。
 19年と23年は定数4に対して7人が出馬し、27年は6人、31年は5人。その時々で選挙情勢は異なるが、今回は定数という大本が1減の3となり、候補者は現職4人と新人1人の計5人。
 このうち3人が能代市能代地域に地盤を持ち、同市における得票1位と2位と3位。そのうち1位と3位が涙をのみ、投じられた票が「死に票」となった。2人とも自身の得票の8割超を同市で集票し、その数(小数点以下切り捨て)は合わせて1万1592票。選挙区全体では1万4142票。
 果たして、その票に込められた願いも「死んだもの」として捨て置かれてしまうのだろうか。当選した3人にとっては、自身を支持しなかった一票で、批判票も当然含まれるだろうが、能代山本という同じ地域に暮らす有権者が投じた貴重な一票には変わりない。その重みを大切にぜひ生きた票とし、各自の行動や政策にくみ取る度量と器量を存分に発揮してほしい。任期は4月30日に始まる。(渡)


 

3季連続なるか

(2023.4.9)

 選抜高校野球大会に初出場した能代松陽の戦いぶりは期待以上だった。担当記者の話から、選手たちの冬場の成長が感じられ、全国の強豪を相手にどういう戦いをするのか試合を楽しみにしていた。初戦で石橋(栃木)を下してセンバツ初勝利、史上初となる2度目の大会連覇を狙った大阪桐蔭とは0─1。
 敗れたものの、春夏9回の甲子園優勝を誇る高校野球界の「絶対的王者」と互角にわたり合った能代松陽。惜敗にもナインは満足した様子を見せず、夏の甲子園で「日本一」を目指すと誓っている。
 夏の選手権大会に出場すれば3季連続の甲子園となる。昨年から平成24年までの10大会(令和2年は新型コロナで中止)を見ると、春に出場し、夏にまた甲子園の土を踏んだチームは約3割。令和4、3年、平成28年の32校中13校(40・6%)が最多で、最少は27年の7校(21・9%)となっている。連続出場の難しさを物語る数字だ。
 本県勢についても調べると、春夏の連続出場は過去11回。昭和が7回、平成以降は4回で、直近は19年前の16年である。3季連続は、中川申也投手を擁した秋田経法大付(現明桜)が平成元年夏、2年春夏に、また秋田商が昭和54年夏、55年春夏に達成した。秋田商は昭和35年春から4季連続も記録している。
 甲子園は「夢舞台」と表現される。全国の高校球児の憧れ、目標である。県内の各校は「打倒松陽」の強い思いで挑んでくるだろう。8日に各地区で春季リーグ戦が始まった。約1カ月後には春季県大会が開幕する。夏に向けた前哨戦に注目したい。 

(工)


 

移住者への「7か条」

(2023.3.27

 人口減少対策の一環として、能代山本を含む地方の市町村は移住定住促進に力を入れている。そうした中、福井県池田町が1月の広報紙に掲載した、移住者に「都会風を吹かさないよう」などとする「池田暮らしの7か条」が先ごろ、テレビ報道やネットで波紋を呼んだ。
 「7か条」は移住者、地元民双方が「知らない、聞いてない」、「こんなはずではなかった」などによる後悔や誤解からのトラブルを防ぎたいと、町区長会が昨年12月に作成、広報紙のほか町のホームページにも載せた。
 第1条の「集落の一員であること。池田町民であることを自覚してください」で始まり、参加や出役を求められる地域行事が多いこと、小さな共同社会で支え合いの多くの習慣があること、プライバシーが無いと感じるお節介(せっかい)があること──などに理解を求める。
 「都会風」の記述は、第4条の「今までの自己価値観を押し付けないこと」の説明で「都会暮らしと違うからといって都会風を吹かさないよう心掛けてください」とする。ネットなどでは「排他的」、「高圧的」といった反発の一方、「前もって言ってくれるのは親切」などと評価する声もあった。
 集落維持のため、共同で取り組むことがさまざまあるのは、この地域も同様。各市町は移住促進のため、魅力発信に努めているが、住民との良好な関係を築くことが住みやすさにつながる。
 いざ移住してみて、思い描いた生活と違和感を覚えたり、地元民とトラブルが生じたりしないため、地域暮らしで心掛けてほしいことを説明しておくのは、受け入れ側として考えてもいい

(池)


 

最低、丸3日間は待機を

(2023.3.14

 「待機期間」3日目の朝。前日まではなかった、変なせきが出るようになった。抗原検査キットで検査してみると、陰性の表示。「気のせいか」と思ってみるものの、せきは止まってくれず、夕方、あえなく発熱。翌日、医療機関で陽性と診断され、その後1週間の自宅療養を余儀なくされた。
 同居家族が陽性と分かって以降、自宅でも食事以外はマスクをし、消毒も換気も小まめにして、2次感染だけはしまい、絶対にかかりたくないと心を強くしていたのに…。それでも感染してしまうこの病気の怖さ、厄介さを身を持って知った。
 コロナに感染した者として、伝えたいことがある。それは濃厚接触者となった同居家族等は最低、丸3日間は、たとえ元気であっても社会には出ない方がいい、ということだ。県の新型コロナ療養ガイド(昨年12月9日公表)には、同居家族等の待機期間は原則5日間、期間を短縮する場合は「2日目及び3日目に連続して検査キットで陰性を確認」することとあり、早ければ3日目には仕事などにも復帰できるとしているが、いつの間にか感染し、2日目と3日目に検査してどっちも陰性だった(検査の仕方がまずかった可能性はあるが…)にもかかわらず、4日目に陽性となる人間(私)もいる。
 感染にはさすがに落ち込んだが、検査キットの結果やガイドを過信して、もし3日目に社会活動を〝強行再開〟し、ウイルスを周囲にまき散らしていたら、もっと落ち込んでいたかもしれない。
 休む、無理に動かない、周りに、社会に拡大させないは、感染した人の責務。みんなで守りたい。(平)


 

マスクの〝卒業〟

(2023.2.27

 新型コロナウイルスと歩んで3年余り。政府は、卒業式のマスク着用について「教育的意義を考慮し、児童生徒等はマスクを着用せず出席」が基本とした。ウィズ・コロナなのかアフターなのかポストなのか、よく分からなくなってきたが〝マスクなし〟を「平時」へ戻る象徴としたいのかな、と思わなくもない。
 この方針を受けた文部科学省の通知は、児童生徒と教職員は「式典全体を通じてマスクを外すことを基本とする」。入退場、式辞、卒業証書授与、送辞・答辞、斉唱・合唱と場面ごとにも書く。何ともご丁寧に。
 能代山本の各校の対応を取材していた担当記者を手伝い、一部の小中学校に電話で取材。卒業生たちの「顔」を見せたいとの願いも、新型ウイルスやインフルエンザの感染防止に神経をとがらせる現状も、ほぼ各校共通。ふと疑問が湧いた。普段はマスクを着けている子どもたちに、どう声を掛けるのだろう。「マスクを取ってもいいですよ」なのか、「皆さん、マスクを外しましょう」なのか…?
 卒業生は歌・呼び掛けも含めマスクなしを予定する小学校の校長先生の返答は「すごい、難しい。『式典や写真撮影があるので、取ってください』かな。マスクをしたいと言うなら、それでいい」。中学校の教頭先生は「『最後の儀式だし、みんなでマスクを取ってやらないか?』という呼び掛けになるのかな」。何とも悩ましい、という空気が伝わってくる。
 今回は卒業式という特別感いっぱいの式典に限った対応だが、4月1日からの学校教育活動は「マスクの着用を求めないことを基本とする」となる。さて、どう声を掛けるのだろうか

(渡)


 

写真を選んでいて

(2023.2.16

 北羽新報には日々さまざまな写真が掲載されている。記事への理解を助けるばかりか、時には記事よりも事実を端的に、そして的確に伝える写真は、見出しと並び、重要な役割を果たしている。
 整理担当は、紙面に掲載する写真を選ぶのが日課だ。数ある中に「これは素晴らしい」とうなるものがあれば、こちらも腕の見せどころと、レイアウトにも力が入る。しかし、いつも記者こん身の一枚ばかりが出て来るわけはなく、複数の写真に優劣を付けて一枚を選びだすのは楽ではない。
 例えば会議の様子を伝える写真。バリエーションが豊富な状況ではないので画一的になるのは分かるが、「どこが違うの?」と言いたくなるほど同じような絵柄を複数出され、判断を委ねられる時もある。
 若手の頃、自信を持って提出した写真をデスクに駄目出しされたことがあった。被写体がカメラを意識して見る、いわゆる「カメラ目線」だったからだ。「これでは記念写真」と撮り直しを命じられた。
 写真の中に「人を入れて」とも、よく指示された。花の写真ならば、見ている人がいるのが理想。だが、フクジュソウやミズバショウが自生する現場に、人がいる方が珍しい。そのため花だけの写真になると、「図鑑だ」と言われた。
 こういう指摘は一理あるが、以前ほどされなくなったように思う。さりげない写真よりもカメラ目線の方がメッセージ性が感じられる場合があるし、人がいなくても工夫次第で伝わる表現はできる。撮り方、価値観は時代とともに変わっているのだ。(工)


 

冬道の危険箇所

(2023.2.9

 先月は10年に1度の強烈な寒波に見舞われるなど、この冬は特別寒いと感じる。そんな中、顔見知りたちが冬道はどこが危険箇所かを話しているのを何気に聞いていて、運転する機会が多い自分も気を付けねばと改めて思った。
 彼らが挙げていたのは、国道7号の三種町鯉川の直線部分と、八郎潟町真坂地内の八郎潟自動車学校から先の直線道路。自分が感じる危険箇所はというと、三種町ならじゅんさいの館前と、マックスバリュ前が思い浮かぶ。4カ所とも防雪柵はあるが吹きさらしになる直線道路という点が共通している。八峰町内だと、凍結よりも吹雪による視界不良の方が恐ろしい。
 とはいえ、さらに恐ろしいスポットは、日本海沿岸東北自動車道(秋田自動車道)の能代市姥懐地内に架かる「姥懐橋」か。風の強い日に秋田市方面への上り車線を走っていると、日本海からの風が斜め横から吹き付けて、車体ごと左右に揺さぶられる。路面が凍結する日には風にあおられて横滑りして、ヒヤリとすることがたびたび。
 周囲の地形を観察すると、深い谷からの風が橋に集中して吹き付けているような印象。橋近くでは風が複雑に巻くのか、雪が橋の下から真上に吹き上がることも珍しくなく、車が揺さぶられるのも無理もないと、妙なところで納得する。
 日沿道は、未開通となっている二ツ井白神IC─今泉IC(仮称、北秋田市今泉)間で、線形改良や種梅入口交差点改良などの整備が進む。早期の完成を願いつつ、日沿道に限らず、雪道は思わぬところに危険が潜むことを忘れずに、安全運転を心に刻みたい。(岡)


 

応募はがきへの添え書き

(2023.1.30

 本紙1月元日号第5集のクイズ「お年玉付き写真入りニュースクロス」に、今年も多くの応募を頂いた。届いたはがきには、解答の「アカルイアシタガキツトクル(明るいあしたがきっと来る)」のほか、紙面の感想などが添えられ、読んでいてうれしくなる文面もあった。
 その一つが、10歳の小学生の「炭団(たどん)をおばあちゃんに教えてもらいました」。クイズのタテのキーに「タドン」があり、ヒントは「球形の燃料。昔ながらの雪だるまの目にもなる」。今では目にすることがほとんどなくなり、小学生には難題で、おばあさんの助けを借りてマスを埋めたようだ。
 一方で、高齢者にはなじみが薄い言葉もあり、91歳の男性は「孫の協力を得てようやく解きました」。家族で知恵を出し合いクイズを楽しんでほしいという、こちらの願い通りの光景が浮かんだ。
 また、「今年1年、明るいニュースが数多く見られるよう願っています」(69歳の無職男性)、「コロナ『終息』の見出し吉報が早くほしいものです」(69歳の福祉関係女性)といった思いがつづられたものも多かった。
 18歳の高校生は「4月から地元の洋上風力関係の仕事に就職が決まりました。洋上風力の記事が載り、読むと自分がこれからその仕事をするのだと思うと胸がわくわくし、新生活が楽しみでしょうがありません」と新年の飛躍を生き生きと報告してくれた。
 このほか、本紙への意見・要望もあり、参考になった。1月も終わろうとしているが、「明るいあしたがきっと来る」と信じて、実り多い1年に。(池)


 

SDGsのまちづくり

(2023.1.23

 国連が貧困や不平等、気候変動など地球社会の課題を解決していくために掲げた「SDGs」(持続可能な開発目標)。今やこの言葉を耳にしない日はないぐらい、日本でも政府・地方自治体、企業、NPO、教育機関などがさまざまな角度からSDGsに取り組んでいる。
 それはこの能代山本でも同様で、例えば事業所においては、県がSDGsを原動力に持続可能な地域社会を実現していこうと創設した「SDGsパートナー登録制度」には、4市町の53社・団体が参加(昨年12月現在)。それぞれがSDGsの17の目標(ゴール)と結び付けた事業活動を推進している。
 また中学校や高校もSDGsをテーマに、社会に目を向けて多面的・多角的に物事を考える学習を展開。そうした中で能代高の2、3年生有志は昨年5月、「アースデイ能代2022」なるイベントを地域住民と共に初開催。風の松原でのごみ拾いランニングやフードドライブ、古着を集めて海外のマーケットで販売する洋服ポストといったSDGsの理念と合致する企画を練り、行動に移してみせた。
 今月8日に開かれた活動報告会には、同校だけでなく能代松陽高の生徒や、一般市民ら約50人が市内外から参加、活動への共感が広がっていた。今春開催予定の第2回アースデイ能代は、学校の枠を越え、多くの大人も関わるイベントに発展しそうだ。
 木材業が産業として根付き、再生可能エネルギーと関係が深いこの地域は、SDGsとの親和性が高い。「SDGsのまち」を掲げ、さらに関心、意識を高めながら、官民を挙げて徹底的に取り組んでいくのも悪くない。(平)


 

死者数急増、高齢者が

(2023.1.14

 令和2年1月16日、厚労省は新型コロナウイルスの感染者が国内で初めて確認(陽性判明は前日15日)されたと発表した。丸3年が経(た)とうとしている。県内初の感染者の確認・公表は同年3月6日。県の公表データを基に振り返ってみる。
 県内の感染者数は、2年が3~12月で140人、3年が1794人。変異株「オミクロン株」が席巻した4年は17万6569人に上り、新規感染者「0人」は1月7日が最後。年明けの第6波、夏の第7波に、秋以降の第8波は年を越して今もなお続く。
 死者数(発表日で集計)は、2年は1人、3年は26人、4年は444人で計471人。特に「第8波」入りした昨年11月は72人、12月は143人と急増した。
 厚労省のオープンデータによると、年代を明らかにしている本県の死亡者数は今月3日までで418人(男性187人、女性231人)。年代別は、男性は60代11人、70代44人、80代80人、90歳以上52人。女性は60代7人、70代20人、80代87人、90歳以上が117人に上る。50代以下の各年代には「0」か、原則1~4人の項目に表示する「*」が入る。
 さて、能代保健所管内は。「全数把握」時代の昨年9月26日公表までの感染者数(①)は5195人で、全県の5・3%。9月27日以降は保健所別の感染者数は公表されず、12月末までの発生届(②)が1834人、全県の9・6%。大館保健所管内(大館市、鹿角市、小坂町)は①1万777人、10・9%、②1797人、9・4%。①はほぼ半分だが、②は少し上回るくらい。能代管内の人口は、大館管内の7割強なのだが。さて、なぜだろう。(渡)


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