たばこに関する話

同僚の記者が禁煙を始めた。社内は禁止されているため、愛煙家は外の喫煙スペースでたばこをくゆらす。
かつて自分もそうだったのだが、この季節に肩をすぼめて吸う味はどんなものだろうか。

入社した頃、記者の大半が喫煙者だった。
それぞれの机には灰皿が置かれ、誰にも気兼ねすることなく吸っていた。
大量の吸い殻、天井には煙が漂った。
当時は当たり前だったが、あの環境の中でよく仕事をしていたなと思う。
それが一人、また一人とやめ、今や少数派となった。

厚生労働省の国民生活基礎調査によると、2022年の喫煙率は男性25.4%、女性7.7%。
3年ごとに調べており、男性は前回(19年)から3.4㌽、女性は1.1㌽低下した。
男性は01年で48.4%とほぼ2人に1人が吸っていたが、約20年が経ち4人に1人まで減った。

喫煙が及ぼす害が広く認識されるようになったことや健康志向の高まり、たばこの値段の上昇など、やめる理由はさまざまだろう。

自分の場合は、どうだったか。
ストレス解消で吸っていたものの、逆にストレスを感じるようになっていた。
社会が受動喫煙に厳しくなり、たばこを吸える場所が制限され、数を減らした。
取材、またはプライベートで外出すると、常に「どこで吸おうか」と考え、喫煙場所を探していた。そうした煩わしさが嫌になった。

だが、他人には「絶対にやめた方がいい」とは言い切れない。
原稿を書いていて行き詰まった際、たばこに救われたからだ。一服は時に思いがけない着想を与えてくれた。

(工)

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