丁寧で深みある議論を

三種町が8年4月の開校を目指す統合中学校を巡り、先の6月定例議会では、一部議員が整備計画の再考を求めて統合中の新築工事実施設計業務委託などの関連費用を一般会計補正予算から削除する修正案を提出した。
議長を除く議員14人での起立採決の結果、修正案に賛成6人、反対8人と賛成少数で否決され、6、7年度の建設工事に向け、実施設計などが今年度進められる運びとなった。

学校の統合そのもの、建設場所、施設の在り方などに町民一人ひとり、町民の代表である議員にも思いがあり、意見が分かれるのも決して不思議ではない。
これまでの検討経緯があり、さまざまな考え方や気持ちが交錯してきたはずだ。

議員発議の修正案は3月定例議会でも出され、可否同数となって議長裁決で可決、一般会計当初予算から実施設計の費用が削除された。
町当局は議員の指摘事項を精査し、グラウンドの拡張や新たな用地取得などを盛り込んだ整備計画案を作成して6月議会への再提案に臨み、承認を得た形だ。

3月、6月議会とも統合中整備のための関連予算に対する判断は拮抗した。
ただ、3月議会で町当局の原案を削除して慎重な検討を求め、整備計画の見直しが図られたことは議会の役割が機能したとも言える。

6月議会でも、練り直された整備計画の内容に賛否があったものの、少子化を背景に早期開校を望む保護者などの声も踏まえて関連予算を認める議員の判断があったのも確かだ。

物事が動かない時や立ち止まる時もあれば、動き出す時もある。

将来を担う子どもたちの教育環境の整備を巡り、保護者などによる検討、町当局からの提案、議会が判断する場面は今後も続く。
三種町で一つとなる中学校をつくり上げるに当たり、丁寧で深みのある議論が欠かせない。

(宮腰 友治)

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