「公立の星」輝き放つ

3月28日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で能代松陽高が能代山本の球史に刻まれる激闘を演じた。
第95回記念選抜高校野球大会の3回戦で、全国屈指の実力校・大阪桐蔭と大接戦。
三塁側アルプススタンドから緊迫の投手戦を見詰めた。

1月27日に出場36校が発表され、能代勢初の吉報が届いた。
3月18日の開幕までできる限り能代松陽を取材し、チームや選手の家族、地域住民ら誰もが春の甲子園を心待ちにしていた。

3月21日の初戦の2回戦で21世紀枠の石橋(栃木)にエース・森岡大智君(3年)が被安打2本、12奪三振の快投。
3−0で大会第1号の完封勝利を収めた。

3回戦は春夏通算9回の甲子園優勝を誇り、史上初の2度目の春連覇を狙った大阪桐蔭と激突。
地方の公立校は、強豪私学と互角に渡り合った。

無四球の初戦から一転、森岡君は4四球を与えたが厳しいコースを突いた裏返しでもあり、被安打はわずか2本。
バックは2試合連続の無失策で、打線は相手を上回る4安打を放った。
工藤明監督の「公立校の星であってほしい」との思いが教え子に伝わり、選手は輝きを放った。

大阪桐蔭は春夏通じて26回目の甲子園で最少の2安打に抑えられた。
それでも能代松陽は0−1で惜敗。
ワンチャンスを生かされ、善戦にも甲子園常連の壁を感じざるを得なかった。

2年連続の夏の甲子園を目指した秋田大会は準々決勝で延長の末に2−5で敗れて3季連続の甲子園に届かず、勝ち続ける難しさを体感した。
秋の県大会もベスト4目前で涙をのんだ。

「NOSHO」はこれまでも敗戦を糧に成長してきた。
センバツで得た経験も生かし、厳しい練習に打ち込むナインの巻き返しに期待したい。

(山田 直弥)

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