議場にいない議員

千葉県市川市議会は、今年の9月定例会から議会中継用のカメラで議席に座る議員を映すようにしたと知り、動画サイトのユーチューブで本会議の模様を見てみた。

報道によると、きっかけは議場で居眠りする議員や本を読む議員らの姿がテレビで報じられ、市民から「ちゃんと仕事しろ」と抗議が殺到。
市議会として市民の信頼を取り戻す必要に迫られた。
議会中継は、それまで質問に立つ議員や市長ら当局の答弁者を撮影していたが、カメラの向きを適宜動かして議席側も撮影。
こうでもしなければ襟を正せないものかと情けない気持ちになった。

能代山本の議会取材の経験から申すと、確かに目を閉じて微動だにしない議員、いびきを響かせる議員はいた。
そうした呆れた行為は、傍聴席から見えるし、中継カメラでも監視は可能だ。
しかし、議場以外の場所にいる議員は、何をやっているのか確認のしようがない。
「議場にいない議員」って奇妙かもしれないが、能代市議会にはいるのだ。

新型コロナ感染対策で密を避けるため、能代市議会は定例会一般質問の議場出席をほぼ半分ずつの交代制にし、それが常態化している。
議員の半分が議場に出席し、そのほかの議員は控え室にいる。
一昨年の6月定例会から感染拡大の波にかかわらず続き、今年の12月定例会もそうだった。

控え室では、議会中継をモニターで見ているそうだが、第三者の目は届かない。
何やら好ましくない話も聞く。
市長の提案説明や付託、議決の時は議場に全員がそろうのに、なぜ一般質問だけがそうなのか。
長時間に及ぶなら、日程調整をすればいいことだ。
それとも同僚議員の一般質問は、議場で聞くほどのものではないということか。
私は、とてもおかしなことだと思う。

(伊藤 仁)

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