人の思いを伝えて

今年もさまざまな言葉を聞き、考えさせられた。

全国高校野球選手権大会に出場した能代松陽。
本県高校野球界をけん引する存在だが、夏の甲子園は現校名では初、能代商時代を含めると11年ぶりだった。

部員にチームの強みを問うと、「落ちているごみを拾ったり、スリッパが乱れていればそろえたりと、日常生活をきっちり過ごすことだと思います」と返ってきた。
日頃から身の回りの状況を観察したり、人の気持ちを考えたりした上での行動は勝負の場面で生きるとのことだった。
爽やかな伝統は確かに引き継がれていると実感した。

観光は波及効果の裾野が広い産業と言われる。
能代山本は、来年で世界自然遺産登録30年を迎える白神山地を核に訪日外国人旅行者(インバウンド)の誘客による地域振興を目指している。

10月、当地の視察に訪れた台湾の旅行会社関係者は「ガイドは通訳が容易に理解できる話し方、技術が求められる」と言った。
日本語が堪能でない外国人に地域の魅力を端的に伝える難しさを考えさせられると同時に、ガイドが果たす役割、言葉の大きさに触れた。

三種町の下岩川地区で今年度、県立大が人口減少や過疎化を抑制して持続可能な農村地域の構築を目指す研究を始めた。

研究活動では学生が地元住民とも交流。
住民同士の関わりや食文化などを下岩川地区の貴重な資源に挙げる学生もいた。
住民からは「私たちが日常と思って過ごしてきたものが魅力と感じてもらえるのはうれしい」「資源に恥じないように、今後は生かすための“探しもの”をしたい」との声が聞かれた。
難題に立ち向かう時こそ、足元を見詰め直し、歩み出すことが必要と改めて感じた。

来る年も人の思いを受け止め、伝えたい。

(宮腰 友治)

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